ノーベル文学賞受賞を拒否した二人

10月にノーベル文学賞の発表があり、その数日後に図書館に行くとノーベル文学賞のコーナーができていました。今年の受賞者カズオ・イシグロ氏の本は当然のように貸出予約殺到で、当面は貸出が難しいとの張り紙がありました。私はあまのじゃくなので別の本を求めて来たのでコーナーを眺めていると、『ノーベル文学賞ー「文芸共和国」をめざして』という本が置いてあるのに気がつきました。今までのノーベル文学賞受賞者についての解説と裏話を紹介したものです。面白そうなので借りてきました。



興味深い内容は多々あるのですが、そのうちの一つ、受賞を拒否した人について紹介します。受賞を拒否したのはソヴィエトの詩人・小説家ボリス・パステルナークとフランスの哲学者・小説家ジャン・ポール・サルトルの二人。このことは以前から知っていて、その理由も、パステルナークは祖国に受賞を拒否させられた、サルトルは自らの意志で拒否したという認識だったのですが、さらに詳しく書かれていました。

パステルナークは初め受賞の知らせに喜んだものの、国内で裏切り者との批判を受け、あわや祖国を追い出される動きになり、祖国を離れたくないパステルナークが、賞の辞退と引き換えに国外追放の措置を取らないよう働きかけたとのこと。せっかくの大きな受賞なのに無念だったことでしょう。

サルトルの場合は、全く個人的な理由から。作家がこうした栄誉を受けるのは、授与する側に公約を与えてしまう。自ら甘んじて組織に成り果てるようなことがあってはならないということらしい。サルトルはボーヴォワールとの対話の中で、「一体誰がカントやデカルト、ゲーテに賞を与える権利を持っているのか、ぼくには考えられない」と言った。平たく言えば、「なんでおまえらは”上から目線”で賞を与えるなどというのか。畏れ多くもゲーテに賞を与えるなんていう奴はいないだろう?俺も同じだ。俺を誰だと思っているのか、おまえらよりずっと上だぞ!」との自負があったということでしょうか。またその7年前にアルベール・カミュが受賞したことにも不快感があったかもしれません。「なんであんな奴が俺より先に受賞するのか!論争では俺が奴に勝ったんだぞ」と。この受賞拒否はノーベル賞選考委員会への批判と捉えられたのか、次にフランス人が受賞するまで20年あまりの期間が必要でした。フランス文壇としては余計なことをしてくれたな、という思いはあったでしょう。

他にも面白い内容があり紹介したいのですが、明日が本の返却期限なので仕方ありません。折を見てということにしておきます。

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