「月と六ペンス」を読みました

海外文学は総じて好きなのですが、英米文学はあまり好きではありません。登場人物の名前が英語なので、すぐに意味がわかってしまい深みが感じられないというのもありますし、特に英文学の場合タイトルがつまらない。「マクベス」、「オリバー・ツイスト」、「デイヴィッド・コパフィールド」、「ジェーン・エア」と人名のタイトルにして何が面白いのか、「お菓子とビール」、「要約すると」では読んでみたいとも思いません。ネーミングセンスの悪さを感じます。

というわけで食わず嫌いだったのですが、サマセット・モームは面白いということを知ったので、今更ながら読んでみることにしました。モーム初体験です。短編もいくつか読みましたが、それについては別途書くことにして、今回は「月と六ペンス」について書きます。

今回初めて読んだとはいえ、さすがにこの有名な小説については、あらすじを知っていました。フランスの画家、ポール・ゴーギャンをモデルにした小説です。もっとも小説の内容は事実とは異なり、モームの創作による部分が多い。作家である「私」が画家ストリックランドについて書き記すという一人称小説の形式を取っていて、今回読んだ本の訳者、中野好夫氏によると、この一人称形式がこの作品を素晴らしいものにしているとのこと。

読んでみて改めて思いました。ストリックランドのような生き方が羨ましいと。都会に住んで、都会の会社で働き、もっと自由で楽しい世界があるのに、それを知らずに人生を終えていくことのつまらなさ。そういえばゲーテも全てを捨ててイタリア旅行して開放感を味わいましたし、ジッドが喧騒なパリを離れてアフリカ旅行で本当の生の喜びを知ったという事実もあります。南国か地中海方面に行ってみたいと強く感じるようになりました。

ところで今回読んだ中野訳では、「私」の友人である画家ストルーヴの奥さんの名前がブランシュだったのに対し、今の新潮文庫の金原瑞人訳ではブランチになっていました。ブランチってbranch(枝、支店)みたいだし、breakfastとlunchの合成語blunchにも思えます。本当の綴りはどうなんだろうと思って、こちらで原文を見てみると、Blancheでした。フランス語の「白い」の女性形と同じ綴りで、フランス語読みだとブランシュ。フランス人だとは書いていませんが、パリに住んでいるということですから中野訳の方がいいですね。それにブランシュの方が女性らしく聞こえますし。

スポンサーサイト

テーマ: 読書 | ジャンル: 小説・文学

旅するユーロ2ndシーズンは、イタリア語とスペイン語が面白い! | Home | NHKのフランス語講座のテキストの”R”のカナ表記はいいと思う

コメント

コメントの投稿


非公開コメント

このページのトップへ