ピタゴラスの定理の証明が異様だと評したヘーゲル

篠沢秀夫氏「フランス文学講義I」第4章「ロマン・ロマン」の第2節「ロマン・トラジェディ」では、バルザックのことが述べられる中で、フランスの教育についての言及があります。フランスでは成績のいい悪いの判断を、「ピタゴラスの定理」が理解できるかどうかで決めるらしい。ドイツでも同様のことがあったようです。その中でヘーゲルの言葉が引用されています。何かというと「ピタゴラスの定理は不可解で異様である。三角形の性質を述べるのに、なぜ正方形を作るのか。正方形を作ると言い出すその瞬間が異様である」と。

ピタゴラスの定理の証明は100通り以上あるといわれていますが、代表的なのが正方形を使うやり方。この図です。



ヘーゲルはおそらくこの証明を見て、異様だと感じたのでしょう。異様と感じた理由について書かれていないのは、おそらくヘーゲルも篠沢氏もその理由に気づいていないためだと思います。それは発見的方法でない証明だからです。であることがわかっていて、2乗といえば正方形の面積だからということで、三角形の各辺を一辺とした正方形を書くわけで、これは結果がわかっていないとできないこと。これが"異様"の正体だと思います。

発見的方法による証明としては、相似を使ったものでしょう。この図です。



私が最初に習ったのはこの方法でした。特に異様とも感じないし、もっとも単純な証明の部類でしょう。

発見的方法については、以前こちらでも書きましたが、発見的方法でない証明を異様と感じる哲学者がいたというのは、ちょっと面白いことです。

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