ドストエフスキー「悪霊」のフランス語部分について

トルストイの「戦争と平和」の出だしは、こちらでも書いたようにフランス語です。ただ訳文を見ただけではそのことはわかりません。しかし翻訳者が訳文に工夫を持たせて、それがわかるようにした翻訳ものがあります。江川卓訳のドストエフスキー「悪霊」です。



登場人物の一人であるステパン・トロフィーモヴィチ・ヴェルホーヴェンスキーは元大学教授。教養があるところを見せようとするのか、時折フランス語を話します。江川氏はその箇所をカタカナで表記しています。人名など本来カタカナの箇所はひらがなです。この工夫のため日本語の訳文を読む我々は、ステパン氏がフランス語を話すところがよくわかるのですが、文字になったのを見ると結構読みにくい。実際でもロシア語の間にフランス語が混じってわかりにくいのかもしれないので、ある意味その感じが出ているとも言えそうです。

なぜドストエフスキーはこの小説でフランス語を多用したのか?自分なりに考えたのが、前述の「戦争と平和」からの影響ではないかということ。ドストエフスキーの妻アンナは、夫の書く小説のページ当たり単価がトルストイに比べて安いことに憤慨して、出版社に抗議したという事実があります。ドストエフスキーは「戦争と平和」に対抗するかのように、小説中にフランス語を用いたのではないかと。実際書かれた年代を見ると「戦争と平和」が1865〜1869年、「悪霊」が1871〜1872年ですから、その可能性もなくはないと思います。

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